「音楽の友コンサートベストテン2010」 音楽評論家・渡辺和彦氏 絶賛の第1位! クライネス・コンツェルトハウス四重奏団は、ザルツブルクで活動していたヴァイオリンの三戸素子とチェロの小澤洋介を中心とするカルテット。彼らは日本でもう15年以上も活動を継続中で、ここ2、3年は特定ファンが増えてきた。近年この世界は、コンクール制覇組によるアンサンブル重視。没個性の管理型(?)団体ばかりが増殖中で、彼らのような第1ヴァイオリン引率型は今では貴重。ウィーン古典派周辺の音楽や旧東欧系の作品は、このくらい個性的なリーダーが全体を引っぱったほうが曲の真価がストレートに伝わる。当日はop.76の2《五度》とヤナーチェクの第1番《クロイツェル・ソナタ》、ベートーヴェンの第12番が演奏され、ベートーヴェンのアダージョ楽章はまさしく無限変奏にきこえる緻密で感動的な演奏。ヤナーチェクは他の3人も含めた“爆演”だった。「2010ベスト・ワン」の趣旨と異なるが、ここで強く推薦、紹介しておきたい。 (音楽の友 2011年2月号より全文)
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